the PLAY/GROUND vol.0 遊び場レポート20: 藤尾姦太郎

美奈からご紹介にあずかりました。

はじめまして。藤尾姦太郎と申します。美奈ご紹介ありがとう。 犬と串という劇団にかれこれ7年ほどおります。ver.Cの「劇作家」堀くんと同じ劇団です。ver.Bの「貴族」マルコムを演じます。

「ブルールーム」は連日午前中から夜までどっぷり稽古の毎日。毎日稽古はじめにフィードバックっちゅうディスカッションを行ってまして、昨日は「台本から離れて外に出てエクササイズをしてみないか」という提案があり、即採用、俳優たちが稽古場を離れて街へ飛び出しました。それぞれ関わりのある役同士ペアを組んで、散歩したり、人探ししてみたり、役の関係を疑似体験してみたり、プレゼントを探してみたり、役のヒントになりそうなルールをペアごとに設け、30分という時間制限の中やってみました。

これが収穫の多かったこと。終わってから、あらためてみんなで集まってフィードバックすると、それぞれ一人残らず収穫、発見がボロボロ出るわ出るわ。特別その役になって野外で即興演劇をするわけではありません。基本的にその俳優のままで散歩したり、何かを探したりするのです。それだけなのに、「この時にこんなことを感じた」「探していたらこんな気持ちになった」云々、どれもこれも「ああ、それはその役だ」、「その役だったら確かにそう感じただろう」「というか、それって○○のシーンそのままだよね!」などということが、多々起こりました。具体的なことは申し上げられませんが、とにかく多くのヒントが見つかりました。本人が街でそのエクササイズをしていた時は気づかなかったけれど、終わってみたらAさんを愛しているつもりが、無意識のうちにBさんのことを終始意識していたことに気づいた!ってゆーよーなのもありました。あー楽しかった。

その俳優のままで、と言いましたが、それってあらためて俳優の根っこだよなと思います。役に変身するとかではない、その俳優のまま、誰かを愛して、求めて、探して、傷つけて、傷ついて、受け止めて、それが目の前で起こることが演劇の醍醐味であるよなあと思っています。昔、演劇の楽しみ方がわからないというとあるお母さまに演劇の楽しみ方を友人と必死で伝えた時のことをふと思い出します。「演劇ってつまり、今ここで、僕と○○(友人)が、こうして話していることに、興味をもって聞きにくる、見にくる、みたいなことです!」ってなことを言った記憶があります。それで例えば「この間、彼女と修羅場があって、その時の様子をここで再現してみるね」とかって言われたら何となく見てみたいじゃないですか。目の前の友人が何かを恋人に伝えようとして、傷つけて、それでも関わろうとして、勇気を振り絞って、それでもすれ違って傷ついて、でもまた勇気を出して、とかって姿を目の前で見せられたらグッとくるじゃないですか。その時、これらの言葉で彼女に演劇の面白さ、楽しみ方を伝えられたかどうかは分かりませんが、また演劇の面白みは色々あるけれど、僕はまだその考え方は我ながら好きかなと思っています。

「ブルールーム」の稽古場では稽古がどんどん深まっています。修羅場の例で言えば、その喧嘩の中で、相手に見せたくない自分の顔をどんどん見せねばならなくなったり、これを言うと相手がものすごく傷つくと分かっていながらそれを言わなければならなかったりetc。。。昨日のverBのさとぴんみっちゃんの夫婦のシーンは稽古後、みんなから「いつまでも登り続けるジェットコースター」と称されました。落ちれば心が大怪我するようなところを二人一緒に登っていくような。そんなことって人生でなかなか体験できないですよね。なこなとが目白押しの男女の愛の話10話。とか言うとえらくハードな気もしますが、ハードな面もあるとは思いますが、基本的には昨日の散歩と地続きだし、いま電車の前に座っている誰かとも地続きだよなあと思います。

うーんと。長くないか? まあいいか。というか、この稽古場で起きた、感じた伝えたいことなんて、山ほどあるんですよ!誰かの涙とか、誰かの怒りとか、甘えについてとか勇気についてとか、いろんなことが語られたり晒されたりしました。うーん。素敵な場所だと思います。「遊び場」。


とか何とか言って、自己紹介兼稽古報告しょうりょう!

次回のブログは依田玲奈ちゃん!若くまっすぐである切実さがあって、魅力的な女優です。若い葉をつけた、しなやかなだけど、湿度もある木みたい。その芽がホロホロと赤い花を咲かせるようです。彼女はver.Cの「若い女」アイリーンを演じます。お楽しみにー。そいじゃあレイナ、次回よろしく!

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